どうも、チンパンジーまさるです。
みなさんは「性悪説」で有名な荀子(じゅんし)という思想家をご存知でしょうか?
「人の性は悪、その善なるは偽(ぎ)なり」
(人の本性は悪であり、それが善になるのは人の意思による努力の結果である)
荀子の性悪説は「人の本性は悪だから、放おっておけば社会が成り立たなくなる」というもので、そのあとに続いて「教育」や「礼儀」の重要性を説いた、自己啓発本のような内容となっています。
「自分さえ良ければ良い」という自分勝手な人間が増えれば増えるほど、社会は混迷を極めてしまう。
これはまさしく、おかしな事件が多発している現代の日本にも言えることかもしれませんね。
荀子の思想は提唱した当時だと、あまりにも論理的すぎて評価されなかったようですが・・・
時代が進むごとにその論理性が評価され、いまでは世界中のビジネスマンがこぞって「性悪説」を学ぶほど有名な思想家となりました。
ちなみに、中国の『習近平』国家主席も、青年時代に暗記するほど愛読していたとの噂で、実際に彼の統制を強める政治方針には荀子の影響がかなり見られます。
そんな私も「性悪説」を先日学んでみたところ、これからの日本を担っていく社会人に必要な教えが詰まっていると感じました。
そのなかから、個人的に気に入った名言をご紹介しますね。
運に頼るな
雩(う)して雨ふるは、何ぞや。曰く、何も無きなり。なお雩せずして雨ふるがごときなり。
(雨乞いをするとなぜ雨が降るのだろうか?理由などない。雨乞いしなくても降るときは降るのである)
荀子が生まれた時代は今ほど文明も科学も発展しておらず、「孔子」などが説いた先人の教えよりも「巫女のお告げ」を優先して政治方針を決めるような有様でした。
三国志を読んだ人ならご存じでしょうが、「妖術」というものが本気で信じられていた時代です。
そんな時代に荀子は「神仏奇跡などない」と一蹴。
さらには「君子は常に正道を歩んでいくが、小人は運頼みの道を選ぶ」と運に頼るやつは成功しないとまで説いたほどで、まさしく荀子は最古のリアリスト(現実主義者)だと言っても過言ではないでしょう。
何のために勉強するのか?
君子の学は通ずるが為に非ず。窮するも困しまず、憂うるも意衰えず、禍福終始を知りて心惑わざるが為なり。
(勉強に励むのは、出世して高い地位を手に入れるためではない。困難や逆境にあってもたじろがず、幸福と災難が循環する道理をわきまえて心を惑わされないためである。)
現代社会に置き換えていうなら、
「勉強に励むのは、いい大学やいい会社に入るためではない。困難や甘い誘惑にあっても心を惑わされないためである。」
社会人に多いのが「会社の命令での資格勉強はするけど、自主的にスキルアップはしたくない」というタイプ。
なかでも日本人のマネーリテラシーはアジアでも最低レベルと言われるほどで、「誰でも簡単に稼げる!」などのマルチ商法などの餌食となる人が後を絶たないのが現実です。
これも「禍福終始を知らないから」であり、世の中の仕組みなどを勉強し続けなければ豊かにはなれない、ということを頭に入れておくべきでしょう。
環境はとても重要
蓬(よもぎ)も麻中に生ずれば、扶けずして直し
(茎が曲がりくねっている蓬も、麻のなかに置けば真っ直ぐに育つ)
よく恋愛テクニックなどで「女性にモテたいなら、女性にモテる人達と仲良くしろ」というアドバイスがあります。
これも女性にモテる人達と交流することで女性にモテるコツを学べる、という点では「蓬(よもぎ)も麻中に生ずれば、扶けずして直し」を踏襲していると言えるでしょう。
このような人間関係のノウハウは最近確立したかのように見えますが、実は2000年以上も前から確立していたものだと考えると面白いものです。
継続こそ力
キ歩も積まざれば、以って千里に至るなし
(千里の道の半歩でもいいから進まなければ、到達することはあり得ない。)
どの自己啓発本を読んでも出てくる「継続は力なり」ですが、大昔の人物である荀子も継続の重要性を説いていたようです。
人生を成功するためのノウハウは色々と出ていますが、結局のところ2000年以上前から語り継がれている「継続」が一番の近道なんでしょうね。